徒然ふぁいたー

立命館キャンパスアジアとか私事とかいろいろ

カプチーノとみかん

授業を飛んでから4日目、私はソウルからインチョンに向かった。

 

mochiquan.hatenablog.com

 ↑これがソウル編の記事

 

 

韓国の地球の歩き方の後ろのページに旧日本人居留地があると小さな記事で書いてあるのを読んでから行きたくなってしまった。

 

インチョンは韓国で唯一のチャイナタウンがあるところで、内陸にある首都ソウルの貿易港として機能した。韓国の長崎のようなところといえばイメージしやすいだろうか。

(インチョン旅行後に、長崎に訪れたのだが交易都市というのは、共通点がたくさんあると感じた。)

 

ソウルからインチョンまで電車で移動するのだが、なんだかよくわからないけど、電車の車内に閉じ込められたり(気づいたおじちゃんが出してくれたマジでありがとう)、いきなり走行中の電車内で腰が痛くならないベルトみたいなものを押し売りするおじちゃんがでかい声で宣伝しだしたり(インチョンではよくあるみたい)、目の前でいちゃつく中国人カップルにおじいちゃんが半ギレだったりと、電車移動するだけでたくさんのことがあった。

 

そんなこんなでインチョン駅に着く、そこで問題が発生した。

 

コインロッカーがない。

ちっちゃめのスーツケースをゴロゴロさせてここまで来たのだが、駅の周りにもコインロッカーがない。この日に泊まるゲストハウスまで微妙な距離があるので、そこまで行って荷物を預けるのも手間である。

 

行けば何とかなるだろうと思った自分の愚かさを悔やみながらチャイナタウンのきつい坂の上でスーツケースを転がす。

 

チャイナタウンはインチョン駅を出てすぐの所にあり、中華街特有の立派などでかい門にテンションが上がる。

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チャイナタウンは当たり前といえば当たり前かもしれないが中国人観光客ばかりだった(ソウルと違い、日本語を耳にすることは一度もなかった)。コロナの影響を受ける前だったが、人はとても少なかった。日本の中華街でもよく売られているいちごあめが刺さった木がそこらへんに生えている。ハングルと簡体字が混じりあう町、インチョン。

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わたしはとりあえず地球の歩き方に載っていた京劇の看板を目指した。ハングル、簡体字、英語で書かれた看板。やっぱりまだ中国語のほうが読めるなあ、か思いながら看板を見る。

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それからジャジャンミョン博物館にいった。ジャジャンミョンとは、韓国の国民食といっても過言ではないくらいポピュラーな食べ物で、ジャージャー麺と似ている。豚肉や玉ねぎで作られたとろみのあるあまじょっぱいソースを茹でた麺にからませて食べる。バレンタインデーやホワイトデーに縁のなかった人たちが4月14日にブラックデーと称して食べたりするそうだとか。

 

中国から韓国に出稼ぎに来た人たちが作り始めたそうだ。(韓国版ちゃんぽんのような立ち位置。)博物館はジャジャンミョン発祥の地である中華料理店「共和春」の跡地に建てられており、当時の華僑の様子などが再現されている。

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交易都市の博物館ではよく、華僑の三刀についての記述を目にする。

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中国から離れ、海外に移住する者たちが食いはぐれない仕事の三つである調理師、仕立て屋、理髪師、がどれも刃を使うことからきている。これらの仕事は、どの時代や場所でも必要とされる仕事であり比較的安定しているため、これらの仕事で生計を立てる華僑が多かったのである。チャイナタウンの料理店もこれから来ているのだと感がると感慨深い。様々な事情から故郷を離れ、たどり着いた異国の地。当時右も左もわからぬ状態で何とか始めた仕事、それが続いてきて現代まで残っているのだ。歴史あるチャイナタウンで続く老舗がおいしいのは当たり前のことである。

 

ジャジャンミョン博物館でジャジャンミョンのことを学んでから、なんだかよくわからない小麦でできたお菓子を買ったりして一休みしたくてカフェに入った。

英語でカプチーノを一杯頼んだら、どこから来たの?中国?とかっこいい店主のおばちゃんに聞かれる。日本だよって答えたら英語の発音が日本人らしくない、ここに来る日本人の英語はみんな癖があるって言われて褒められているのかけなされているのか微妙な気持ちになるし、私の英会話レベルは中学レベルなのであまり突っ込まないでいただきたい。

 

店内に客は私しかいなかったので、おばちゃんとは韓国語交じりの英語でしゃべった。私が韓国語と中国語を大学で勉強していること、春から留学予定なこと(もちろん流れた)、旧日本人居留地を見にインチョンに来たこと、おばちゃんが若い時に、いろんな国へ海外旅行へ行ったこと、日本に行くなら沖縄に行ってみたいこと、インチョンおすすめの観光スポットも教えてもらった。

英語がうまいなあと思いながら話を聞いていたのだが、どうやらおばちゃんは若い時分にイスラエルに留学していたらしい。ボランティアをしながらイスラエルに2年くらい住んでたらしい。イスラエルにはあまり英語のイメージがなかったが、多くの国から人が集まるので、英語を話す人や、英語を使う機会が多いんだそうな。あなたももっと英語を勉強したかったら行ってみるといいよって言われた。おばちゃんはサービスでミカンをくれた。いつも食べるミカンより甘いような気がする。いや、ミカン久しぶりに食べるなあ。あまあま。カプチーノにミカンの組み合わせは合わないと思っていたが、おいしかった。

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スタバとかのコーヒーチェーン店でもミカンをおけばいいのに。チェジュ島でとれたそのみかんは歩き疲れた私の空腹を刺激した。そういえば駅でパンを買ったきり何も食べていないことを思い出した。おばちゃんにコインロッカーがここらへんにないのか聞いたのだが、ないといわれ、インチョンはめちゃくちゃ面白いところだが、コインロッカーがないのは大変だね、と愚痴った。この愚痴を二回ぐらい言った。帰れというのをぶぶ漬けをサーブすることで表すという京都人も顔を赤らめて恥じらうに違いないだろう。おばちゃんはカフェの閉店時間までに戻ってくるのなら荷物を預かってくれることになった。ありがとうおばちゃん。せっかくきたんだから楽しんでねって笑顔で送り出してくれる。神。

 

おばちゃんは私を見送ってから、本業の革細工仕事を始めた。店内には、おばちゃんが作ったかわいい雑貨がたくさん置いてあった。戻ってきたら絶買っていこう。そう心に決めて店を後にする。

 

おなかがすいたので、名物のジャジャンミョンを食べたくて中華料理店に入った。お酒も飲みたかったので、焼酎チャミスルを頼む。ジャジャンミョンが胃にしみる。付け合わせで出てきた玉ねぎの漬物的なやつとたくあんがおいしい。

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チャミスル1瓶でだいぶ酔いが回ったので、中華風庭園で日向ぼっこをして休んだ。冷たい空気を溶かすような昼下がりの日光がとても気持ちがよい。

 

旧日本疎開地はチャイナタウンの境目くらいに急に現れた。思ったより規模が小さいがそれでもちゃんと日本家屋が残っていた。

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日本家屋だけでなく、日本人が建てたホテルの跡地に当時から残る建物を利用した博物館がたくさんあった。どれも日本円にして100円くらいで入れる。貧乏学生にはありがたいことこの上ない。

博物館のタダでのらえるパンフレットは日本語版もちゃんとあるから韓国語や英語が不慣れでの展示内容はわかる。

 

仁川開港場近代建築博物館、生活展示館、韓中博物館、ジャジャンミョン博物館、大仏ホテル展示館、どの博物館もとても見ごたえがあった。日本軍の資料など、日本語で書かれた資料も多くあったので、日本史に興味がある人もぜひ訪れてほしい。

仁川には博物館が30以上あるのでぜひまた訪れてみたい。(それまでに解説文の韓国語を読めるようにしなければ)

お気に入りは韓中博物館、内装も外装も本気だしてて好き

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インチョン自由公園にも行った。インチョン上陸作戦を記念するマッカーサー銅像や、朝鮮戦争の犠牲者を弔う石碑もたくさんあった。学生が勉強できる環境はとても貴重なものなんだなあとコロナ禍の今こそよくわかる気がする。

 

カフェに戻って、おばちゃんから荷物を受け取り、かわいい布トートバッグとキーホルダー、ブレスレットを買った。おばちゃんにどこに行ったのかと聞かれ、博物館にいっぱい行ってきたよ!というと、ちょっとあきれられた。

 

私も観光地で自分で作った雑貨を売ったりするカフェとか開いてみたい。おばちゃんというにはかっこよすぎるイケおばちゃんだった。

 

暗くなる前にゲストハウスへと向かう、ゲストハウスはインチョン国際空港に近いところに取った。一泊千円くらいだったが、ソウルの宿より新しく、快適だった。同部屋のロシア人のヴィクトリアはサムスン自動車の社員で、休暇で来ていたのだが、故郷モスクワの家族が恋しく、ロシア語で独り言をぶつぶつ言っていたので怖かった。でも美人だしお菓子くれたから最強。顔面偏差値最強。

 

コンビニまで行こうと上着を着ようとしたら、コートいらないよ!って言われたけど普通に氷点下でめちゃめちゃ寒かった。これがロシア人と日本人の体感温度の差なのかと思った。

 

次の日の早朝に日本に帰る飛行機に乗るのだが、結構寝坊してマジで焦った。ゲストハウスのオーナーのおじちゃんが車を出してくれて事なきを得た。おじちゃんマジでありがとう。海外で絶起するとは思わなかった。LCCは入り口からかなり遠いところに搭乗口があるので、私のような貧乏人は余裕を持って行動することを忘れてはいけない。

 

インチョンは一日しか滞在しなかったが、また何泊かしてみたい。

まとめとして、自分が一番好きなソウルとインチョンの写真を一枚ずつ挙げて終わりにしよう。

 

みかん売りのおじさんがねてるところ ソウルにてf:id:mochiquan:20200526220836j:plain

 

 

足の悪いおばあちゃんに自然に手を伸ばすおじいさん インチョンにて

 

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成人式に行くより韓国に行くほうが安上がりだという理由で動いてしまった今回の旅だが、たくさんの人に支えられて何とか無事に乗り切れた。感謝の心を忘れてはいけない。自分にはこんな阿呆なセルフ成人式がぴったりだったと負け惜しみとかじゃなくて心から思う。皆さんもぜひ日韓関係が悪くなった時に格安航空券で韓国に行ってみてください。(関係がいいに越したことはないけど、安い時が行くチャンスなのは間違いない)私は格安なので香港に行こうとしたら、コロナと時期がかぶり、行けなくなりました。海外旅行ごときで人生は変わらないけど、旅先で普段は合わないような人や知識と出会うことで新たな発見があり、なんだかおもしろいので、足腰がしゃんとしているうちにいろんなところに行っておこうと思う。何事においても体は資本ですね。そろそろ家の中も飽きてきた。どこかに旅行計画を立てたい。なんだかおもしろいをそろそろ探しに行くときである。

 

それでは皆さん良い自粛生活を!